皆様、良いウイスキーライフをお過ごしでしょうか?
今回の記事では、5月26日(日)に初開催となった「異文化交流会(トライアル)in Bar CASK」の様子をレポートとしてお伝えします。
普段は、ウイスキーのつくり手や届け手(バーテンダー、酒卸、等)の取り組み姿勢やその背景、歴史をお伝えしてきたCELLARR SALONですが、今回、初のスピンオフ企画として、ウイスキーの啓蒙活動に取り組むYouTuberをゲストにお迎えします。
ウイスキーファンの愉しむ場のあり方が変化している中で、動画(仮想空間)と現実空間をつなぐウイスキーの魅力に迫ります。
【詳細情報】
開催日/時間:5/26(日)
開催場所:Bar CASK
【ゲスト紹介】
■俺のモルト 氏(YouTuber)
【本人コメント】
Buenas noches! 俺のモルトだ!みんな、ウイスキーで人生を豊かにしているだろうか?俺のモルトは、自分の人生を表現するようなウイスキー、自分だけの「俺のモルト」を見つける旅をテーマにしたライフスタイルコミュニティだ!造り手であるディスティラーに敬意を込めて、目の前のウイスキーと真剣に向き合い、ウイスキーを鏡にして、自身の人生を見つめる―そんな距離感近いウイスキーとの向き合い方が、人生のコンセプトを明確にし、より豊かな人生を歩むことに繋がっていく!
今回、CELLARR初のトライアルとなる異文化交流会に招待頂き、光栄だ!SNSとWebメディアの異文化交流会ということだが、結局のところは人対人!魂の交流だ!俺たちが交わることで、どんな豊かな化学反応が起きるのか、楽しみにしているぜ!
【YouTubeチャンネル】
e.com/channel/UCb5Kg-PeJhaWKrdvX22jomw
|はじめに
今日は「ウイスキーは人生を豊かにするお酒」というテーマで話をしたい。まず「人生の豊かさ」とは何か。定義は人によって様々だが、俺は「人との共感」だと考えている。例えば、人は何かに感動した時、それを誰かに話したくなる生き物だ。独りだけの感動では豊かさを最大化できないが、それを誰かと共有し、共感してもらうことで、豊かさを何倍にも増幅させることができる。
「俺のモルト」は、YouTubeチャンネルを開設して3年が経つ。クセの強いチャンネルだが、みんなの応援、共感のおかげで、俺は今日まで活動を続けることができた。みんなが共感してくれなければ、俺はとっくに辞めていただろう。それくらい、「共感」には大きな力が宿っている。
ところで、数あるお酒の中で、なぜウイスキーなのか。それは、単に俺がウイスキーを好きってこともあるが、ウイスキーと人が、すごく似ていると感じるからなんだ。一体どういうことか。俺は仕事柄、色んなSNSを目にするが、どんな媒体でも、早く成長させようとして、インプレッションやフォロワー数を一気に増やそうと考える発信者は少なくない。
「早く有名になりたい!」
「早く人気者になりたい!」
「早く稼げるようになりたい!」
無名の発信者がそれらを叶えようとした時、何段飛ばしで階段を登らないといけなくなる。無理をしなければいけなくなるんだ。
そうなった時、人は目立つこと、派手なことをやろうとする。いわゆる「迷惑系」が増えるのはそれが原因でもあるんだ。逆に、例えば「毎日1人で駅前のごみ拾いをしいてます」という人は伸びにくい。目立たないからメディアにも取り上げられない。1年やり続けたら、ようやく誰かが共感して、応援してくれるかもしれない。正しいことをして自分の価値を認めてもらうには、とにかく時間がかかるんだ。犯罪に近い過激なことをすればみんなすぐに飛びつくから、たった1日で有名人になれるが、果たしてそこに共感は生まれるだろうか?
ちゃんと正しいことをやるってことは、時間も忍耐も必要。それはウイスキーも同じだ。ウイスキーは、熟成をさせないと「ウイスキー」と呼ばない特殊なお酒。例えば、樽に熱を加えれば、ウイスキーの熟成は早く進む。一見すると近道に見えるが、そうしてできたウイスキーにはアクや雑味が出やすい。これが例えばYouTuberなら、さっきの迷惑系みたいなのが出来上がるイメージだ。大切なことは、丁寧に時間をかけて育てるということ。ウイスキーも人も同じで、成長に近道はないのさ。
ーーー最初の人生の豊かさっていうことと、そこからウイスキーへの輪郭がなんとなく繋がってきましたね。
もっと深掘りしていこう。ただ単にウイスキーを飲むだけでは、人生が豊かになるとは限らないという話だ。ところでみんな、変なことを聞くが、今日帰る家はあるだろうか?
(みんな、当たり前だという表情で頷く)
そうだよな。帰る家がなければ、毎日不安で、ウイスキーを愉しむどころではない。それでは、心の家はどうだろうか?別の言い方をすれば、心の居場所、心の羅針盤を持っているだろうか?俺は、人生は大航海だと思っている。航海を進めるには羅針盤が必要だ。人生における心の羅針盤、人生をかけて、こっちの方向に進みたいんだという人生のコンセプト。自分自身の人生にテーマを持つことが、すごく大事だということを伝えたい。
あまり考えたことがないかもしれない。でも、心の羅針盤がなければ、時代のスピードが速い混沌とした現代社会では、遭難してしまう。迷子になってしまう。人生を豊かにするためには、今日帰る家があるように、心の家も必要なんだ。
だから、特に今の若い世代は、お金よりもやりがいを求める傾向にある。自分は何者なのかということを見つけたいんだ。ただ、それは簡単に見つかるものではないから、人生を懸けて探し続けるしかない。
俺は、心の羅針盤をみんなに持ってもらいたい。でもそれは、実は既にみんなの潜在意識の中にあるものなんだ。正確には、潜在意識の中に埋もれている状態だ。
多くの人は、それを忙しい自分の現状を理由に、埋もれたままにしてしまう。埋もれたまま、何も考えないで生きているほうが実は楽だからだ。でもそれでは人生は豊かにならない。自分の潜在意識の中にある、本当の自分の意見を掘り起こす作業はすごく大変なことだが、それが見つかった時、人生は本当に、パーッと雲が晴れて、初夏晴天のような晴々としたものになる。
その心の羅針盤を見つけるお手伝いをしてくれるのがウイスキーなのさ。俺はさっき、「ウイスキーは人とすごく似ている」という話をした。ウイスキーを鏡にして、自分と向き合ってみるんだ。
さてここから、みんなにはもっともっとウイスキーとの距離を縮めてもらおうと思う。ここから先は、俺モルワールド全開だ。
みんなは、ウイスキーを飲んで、チョコレートっぽい、バニラっぽい、薬っぽいというような、通常のテイスティングはしたことがあると思う。今からみんなにやってもらうのは「擬人化テイスティング」。ウイスキーの味わいを人物に例えて表現するテイスティングだ。
(当日資料より抜粋)
ウイスキーを人物に例える。男なのか女なのか、年齢はいくつか、見た目はどうだ、性格はどうだということを、味わいを通して表現する。これが、俺のモルトがYouTubeを通して発信している、擬人化テイスティングだ。ここまでウイスキーと真剣に向き合う経験はしたことがないと思う。擬人化テイスティングに正解はないから、難しく考えず、各々自由にやってみてほしい。ウイスキーとの対話だ。
ーーー 実は文豪たちもやっぱりウイスキーが大好きですよね。ウイスキーを飲むと言葉が出やすいのかもしれないですね。書く姿もいいですね。みんな真剣。みんなゾーン入ってる。 みんなの世界観が出るのも楽しみですね。
どうかな?(参加者)さん。
性別は男性。年齢は17歳。イメージは、高校卒業後、進学じゃなくて仕事をするんだと決心している学生。その理由としては、飲んだ時のピリピリ感。そこに若さであったり、若さゆえの希望みたいなものを感じた。さらに、香りに広がりがすごくあって、そこが少年のやる気に感じたなと。でも、まだ卒業前なので、香りは軽い。経験値としてはまだ足りないよねという感覚で、ちょっと若いかなと。
(他の参加者の方々も、各々の擬人化テイスティングを披露)
ありがとう。いいじゃないか。具体的で実に人間臭い擬人化像だ。みんなも自分が感じたまま、具体的に書いてくれ。
今日集まった参加者だけでも、出てきた擬人化像は全くかぶっていない。さっき言ったように、各々の潜在意識の中に、人生を豊かにするために必要な心の羅針盤が埋もれている。擬人化テイスティングは、それを掘り起こすヒントをくれるんだ。今みんなが擬人化してくれた、例えば、Bさん。Bさんは、17歳の男性だと表現した。そして野望がある。ここにBさんの潜在意識が現れているんだ。
ウイスキーと対話するように真剣に向き合うことで、ウイスキーが鏡になって、自分は何者なのかを教えてくれるんだ。
これからも、色んなウイスキーで挑戦してみてほしい。続けていくうちに、自分も気づかなかった潜在意識を掘り起こすきっかけが生まれる。人生を豊かにするための答えは、みんなの潜在意識の中にある。みんなにはどうか、自分の人生を表すようなウイスキー、自分だけの「俺のモルト」を見つける旅をしてほしい。
ーーー自分の「俺のモルト」を探す旅って聞くと、めっちゃ分かりやすいですね。
色んなウイスキーで擬人化テイスティングをやっていると、俺っていうのは、私っていうのは、こうありたいんじゃないかっていうのがだんだん見えてくるんだ。それらを紡ぎ合わせると、やがて心の羅針盤が完成する。それを手にした時、人生はめちゃくちゃ楽しくなる。心が帰る場所、心の家を手に入れた自分は、荒波の現代社会でもう迷うことはない。自信を持って、人生の大海原を進むことができるんだ。
心の羅針盤を手に入れたなら、今度は同じ方角を目指す仲間を見つけられるようになる。ラジオみたいなもんだ。FMはそのぴったりのHzに刺さないと絶対に聞こえてこないように、こっちに行きたいと強く願うから、同じ方角に行きたいと思う人が見えてくるんだ。そうして出逢うのが人生の仲間。最初に言ったように、人との共感が生まれた時に、人生は益々豊かになっていく。
人生の仲間を見つけるためには、心の羅針盤がしっかりしていないと難しい。だからまずは、ウイスキーを通して、自身の潜在意識と向き合う。心の羅針盤が見つかれば、人生の仲間が見つかるのは時間の問題だ。仲間が増えれば増えるほど、人生っていうのは限りなく豊かになっていく。そのことを、これからも俺は、俺のモルトを通してみんなに伝えていきたい。
ーーー皆さんそんな感じで、時間があっという間にきてしまいました。今回は、人生の豊かさには心の羅針盤を見つけたらいいよねっていう話があって、そしてウイスキーがなぜ必要かという話でした。そして最後、実際には飲むだけじゃなくて、いろんな人と交流してそれを共有して、共感を生んでいくといいよねっていうような話だったと思います。
今日こういった形で本当にハートフルな時間をありがとうございました。今回は、ここで終わらせていただきます。ご参加いただいた皆様、ありがとうございました。
主に20代のウイスキーが大好きな若手で構成される編集部です。さまざまな蒸溜所、つくり手、ファンの方々との交流をもとに、これからのウイスキー業界を盛り上げる活動を続けていきます。Twitterも発信中。フォローは以下のアイコンをクリック!
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