現役東大生が輿水さんに「ウイスキーの始め方」を聞いてみた!【後編/全2回】

はじめに

前回では、ブレンダーの輿水さんと「ヨコ並び飲み」で違いを感じることについてお話ししました。
さて今回は、「ヨコ並び飲み」である程度自分の好みがわかったあとの楽しみ方をご紹介します。お楽しみください。


2. 体験から来るウイスキーの楽しさを感じる

ーー本からも知識を増やそうかと思っているのですが、それはいかがですか?

輿水さん(以下敬称略):
もちろん手軽さという点においては本から入るのも良いのですが、やはり文字で読んで知識をつけるだけではなく、比較しながら実際に飲んでみることにはすごい意味があるんです。

ウイスキーのような嗜好品は自分の体験に基づいた「分かる」「実感できる」という感覚を知るのがとても大事で、味や香りのようになかなか表現しづらいものが、一気に自分の体験として構築されるんですよね。

ーーなるほど。たしかに、知識をつけたいがためにウイスキーに関する本を買ってみたのですが、それを読んでもあまりピンとこなかった、味や香りがあまり思い浮かばなかったということがありました。まず感じてみる、という最初の一歩が大事なのですね。

輿水:
その通りです。アドバイスをもらいながら実際に飲んでみて、納得できる形で体感した時の楽しさというものは別格ですね。そういった体験が最初にくると、興味がウイスキーを取巻くさまざまな要素にじんわりと広がっていくはずです。

たとえば、蒸留所の歴史、つくり手のこだわり、その土地ならではの特徴など、僕でも語り尽くすことができないほど掘り下げられるものがいくらでもあります。

このお酒はそれだけ懐が広いというか、色んなものを持っているからこそ、実際に知ろうとする気持ちになることで、ウイスキーの美味しさや魅力を更に高めてくれると思いますね。

ーーただ美味しいだけではなく、その先がどんどん見えてくるという楽しさがクセになるのですね。

輿水:
はい。ウイスキーの持つ物語と、自分の嗅覚や味覚がだんだんリンクしていく感覚が積み重なるとさらに楽しくなってくると思います。

このプロセスこそが、ウイスキーの価値を単なる貯蔵年数の長さとしてとらえるのではない、ウイスキーを楽しむ鍵になってくると私は思います。

もちろん、本を読んで自分の感覚だけで良いものを探っていくことも良いプロセスの一つです。どんなアプローチでも良いけれども、実際に楽しむ、これをウイスキーに入りたてのみなさまには感じ取っていただけたらと思います。

ーーなるほど。安易に、最初はこれを飲むと良い!みたいなウイスキーがあると思ってしまっていたのですが、一本で語れるようなお酒ではないことを改めて感じました。
実際に輿水さんの話を聞いているだけで、自分でも飲んでみたいな、バーに行きたいと感じます。
人に話を聞くことも含めて、体験につながるのですね。

輿水:
そうですね。話を聞くといった初歩的な段階を踏むだけでも、考え方はかなり変わってくると思います。

3.「ヨコ並び飲み」の一歩先「タテ並び飲み」とは

ーー最初に説明してくださった「ヨコ並び飲みを経験し、特徴の違いをある程度認識できるようになったら、どのような楽しみ方があるのでしょうか。

輿水:
そうですね。次のステップとしては「タテ並び飲み」をしてみると良いと思います。

例えば、最初に特徴の差が顕著なものを横に並べて飲んでみる過程で、自分がアイラのモルトのようにピート香の強いものが好きだと気付いたとしましょう。そうしたら、次はアイラの蒸溜所を並べて飲んでみる。そうすると、ひとくくりでピート香の強いもの、ではなく、ピート香の中にもどれだけの種類があるかを感じることができるでしょう。

そして、つぎの段階は自分の好きなウイスキーに関して、スタンダードクラスの比較的若いウイスキーと、12年もの以上など長期熟成のウイスキーを比較してみましょう。

ーーなるほど!ひとつの銘柄で熟成年数の違いを深掘りしていくのが「タテ並び飲み」なのですね!だんだん慣れてくると、細かな違いというのも認識できるようになるのでしょうか。

輿水:
経験を重ねれば重ねるほど細かな違いがわかってくるはずです。最初の「ヨコ並び飲み」で感じたウイスキー個々の違いがより明確になり、品質の違いを更に大きな幅として感じられるになるとより一層楽しくなります。

ある程度の知識がそこでついてくると、次はブレンデッドウイスキーも楽しめるようになります。

ブレンデッドはかなりの種類をブレンドしている分、違いを認識するのはかなり難しいはずですが、あれ、これはシェリーが、スモーキーが効いているなというように、ブレンドの意図もなんとなくわかってくるようになると、さらに興味も関心も深まってくるでしょう。

ーー深い…。ウイスキー沼にハマっていく方々の気持ちが少しわかったような気がします。

輿水:
一方で、ハイボールという入り口のおかげで、間違いなく昔と比べるとウイスキーのハードルは確実に下がっています。もっとワイワイ飲みたい、手軽にハイボールを飲みたい、そういった楽しみ方もそれはそれで良いと思います。

出典:Adobe Stock

ーーたしかに、ハイボールなら飲んだことあるよという人は自分のまわりにも多くいますね。

輿水:
同じハイボールでもウイスキーが変わると印象は全く変わったものになります。それだけでも体感して欲しいですね。

ただ、あともう一歩先に進めばウイスキーをより深く楽しむことができるのに、ハイボールしか飲んだことがない、というのは個人的に少しもったいないとは感じてしまいます。

ハイボールを飲んだ方達は知らずのうちにウイスキーに触れており、そのぶんハードルも低くなっていると思うので、その奥にあるウイスキーの純粋な味の違いとそこにある物語を感じてもらえると嬉しいなと思いますね。


まとめ

今回は、ウイスキー初心者が知っておきたい情報を紹介しました。この道のプロの輿水さんからだからこそ聞ける、ウイスキーへの接し方の最初の一歩が、少しでも多くの方に伝われば嬉しいです。

CELLARR®︎では本記事以外にもウイスキーにまつわる様々な記事を執筆してまいります。つくり手の想いや技術、飲み手には普段届かないような話をウイスキーづくりを現場から支える方々にお聞きして参ります。

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