地域とウイスキーの新たな100年を語る 〜第9回CELLARR SALONを終えて〜(前編/全2回)

月に1回、ウイスキーそのものやウイスキーにまつわる話しが好きな方々が集い、ここでしか聞けない話を愉しむウイスキーのオンライン社交場 CELLARR SALON。本記事では、第9回を迎えた本イベントのレポート記事を全2編にてお届けします!

今回は『全国のウイスキーフェス特集』ということで、全国それぞれでオーナーバーテンダーとして、そしてウイスキーフェスを開催し、多くのウイスキーファンを楽しませている3名にお越しいただきました。

本日のゲストは、Bar Higuchi オーナーバーテンダーであり福岡ウイスキートークを運営する樋口さん。BAR Te・Airigh オーナーバーテンダーであり秩父ウイスキー祭を運営する横田さん。そしてBAR 芦屋日記 オーナーバーテンダーでありウイスキーハーバー神戸を運営する草野さんです。

3名とも全国それぞれでオーナーバーテンダーとして、ウイスキーフェスのつくり手として活躍されている方でしたので、とても勉強となったイベントとなりました。

レポート記事から、今回のイベントの雰囲気をお愉しみください。
(今年から、有料会員様向けに動画でのアーカイブも公開させていただきました)

|今回のゲスト

Bar Higuchi オーナーバーテンダー
樋口一幸 氏

BAR Te・Airigh オーナーバーテンダー
横田武志 氏

BAR 芦屋日記 オーナーバーテンダー
草野智和 氏

|ゲストトーク

ーー本日は私にとって地域をウイスキーで賑わす師匠のようなお三方です!本日も楽しんでいければと思います!それではまずお三方自己紹介をお願いいたします!

よろしくお願いいたします。ウイスキートーク福岡を開催しています。中洲でその名の通り、Bar Higuchiを営んでおります。

ーー先日僕も訪れさせていただき、とても楽しい時間を過ごさせていただきました!皆様も福岡に行った際は是非訪れてみてください!

秩父ウイスキー祭りを行っており、BAR Te・Airigh を営んでおります、横田と申します。本日はよろしくお願いいたします!

ウイスキーハーバー神戸の実行委員長を務めております、BAR 芦屋日記の草野です。私どものイベントはこの春で第一回を迎えるのですが、この開催もお二方がいらっしゃったからこそ、神戸でもやりたいと思いながら第一回に向けて奮闘してきました。本日はよろしくお願いいたします!

ーー地域を盛り上げてきたウイスキーイベントの年表を作成したのですが、実は2010年から行われてきました。それぞれ単発ではなくて、それぞれ相互作用があって今に至るということで、その初発であるウイスキートークについて樋口さんが元々どういう想いで開催し、どうこれまで継続してきたのかをお話していただけますと幸いです。

ありがとうございます。最初は、ベンチャーウイスキーの肥土さんをお呼びしようと仲の良い酒屋さんたちと話になって。まだその頃のベンチャーウイスキーは今と比べると知名度もあまりなく、バーテンダーやお客さんたち70人程でホテルに集まって、すごく距離の近いイベントとして2010年に始めました。そこから徐々に増え続け2000人を越えていったという経緯です。

ウイスキートークの様子(出典:樋口さんより)

ーー今では考えられない小規模で始まったのですね。横田さんもその変遷の中で2014年に始められたと思うのですが、その変遷と樋口さんとの繋がりなどお話いただけますと幸いです。

秩父ウイスキー祭は2014年に始まったのですが、その前に埼玉ウイスキーセッションを2011年に大宮にて行いました。その頃から秩父でもやろうというお話があったのですが、まだまだ私自身も駆け出しであったため、勉強させていただきながら時を経て2014年に蒸溜所のある街、秩父で第一回を行いました。イベント運営に関して樋口さんのウイスキートークで学ばせていただいて徐々に規模も大きくなり、今年で10周年を迎えることが出来ました。樋口さんがいたからこそ、今を迎えております。

秩父ウイスキー祭当日の朝の様子(出典:横田さんより)

ーーそのような歴史の繋がりの中で生まれ、今では秩父ウイスキー祭の日はホテルも取れないくらいになりました。

私も樋口さんありきでウイスキーイベントを開催しております。ウイスキートークの第三回目に客としていって、第四回からはスタッフとして入りました。そんな中で「草野さん、秩父近いよね?」と言われて(笑)。「秩父ウイスキー祭」のウイスキートーク出展ブースに、スタッフとして入って回してくれということで。 コロナ前まで全ての他のフェスタのウイルキートークの出展ブースに立って宣伝していました。そういった中、神戸で宮森くんと自分でやってみようとなり、2018年に立ち上げたもののコロナで少し中断してしまって。去年に実績作るために400人限定で第0回を行い、今年に1500人規模で行うために奮闘しております。

(出典:WHISKY HARBOUR KOBE 公式)

ーー皆様それぞれが地域毎にウイスキーフェスを開催しており、そして共通項としてみなさん全員オーナーバーテンダーとして活動されているということで、その点のお話も出来ればと思います。

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今年、秩父ウイスキー祭りは2月19日、ウイスキーハーバー神戸は4月23日、ウイスキートークは6月11日に次回は開催されます。また樋口さん主催で能古島にて3月12日にClub Cが開催されます。それぞれ素敵なイベントとなっておりますので、是非参加してみてはいかがでしょうか。

|ウイスキーハーバー神戸

【開催概要】
日程:2023/04/23(SUN)
時間:11:00~17:00
会場:KIITOデザインクリエイティブセンター神戸

|ウイスキートーク福岡

【開催概要】
日程:2023/06/11(SUN)
時間:未定
会場:博多国際展示場&カンファレンスセンター

|秩父ウイスキー祭

【開催概要】
日程:2023/02/19(SUN)
時間:11:00~17:00
会場:秩父神社+秩父地場産センター+特設テント

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ーーこのように今では全国各地で様々なウイスキーイベントがあるということで、トークセッションをしていければと思います。聞きたいこと、気になることをたくさん話せればと思います。トークテーマ①としてウイスキーフェスの運営に関して、草野さんの口から先輩達お二人へと質問のように行っていきたいと思っております。

フェスの開催に関してとにかく一回目が大変で。何をしなきゃいけなくてというのが何もかも手探りで。樋口さんも規模拡大の際に難しかったですか?

何よりも会場確保が難しかったですね。福岡はとにかくイベントがたくさんあるので。毎回毎回小さい、もっと広くしてほしいと言われることが多かったです。今年は三倍の大きさなのでやっとここまできたって感じですね。

「月と失われてゆく動物シリーズ」含め、ウイスキートークではアートとの融合がとても印象的ですが、どういった考えで行われているのですか?

『月と失われてゆく動物』シリーズ(出典:くりりんのウイスキー置場)

相棒と一緒に考えています。イメージとしては例えばマルスであれば『太陽と鳳凰』で『永遠や復活』。秩父(1st2ndは羽生)の『再生と有限』との対比を意識しております。何事も「続けて行く」ことが大切だからこそ、そういったイメージが秩父ウイスキーと合いましたね。

大宮の際も、先輩方が将来的には横田さんを中心にといった感じでしたか?

そうですね、俺たちに楽をさせろ!若いのだからって(笑 )!ある種の世代交代というか。先輩のバーテンダーの方々はイベント運営に長けていましたので、たくさん学ばせていただきました。

秩父ウイスキー祭の運営はどういった形成となっているのですか?

いろいろ各セッションでリーダーがいて、たくさん支えてもらっています。

ウイスキーイベントの中でも秩父はすごく独特な雰囲気ですよね。何よりウイスキー創りのお膝元でもあり、そしてなんと言っても神社会館の醸し出す雰囲気は素敵ですね。

秩父の中心は秩父神社なので、やはり中心で行おうと思っていて。秩父はなんと言っても年間400以上の祭が行われますので(笑)。

ここで参加者さんからの質問として、イヤなコトもたくさんあると思うのですが、「継続の原動力」を聞きたいのですが、樋口さんどうですか?

まず、「続けることこそ意味がある」と思っています。一回で終わらせたくないと思っています。その上で誰もしていないからやるし、何より自分が楽しくお客さんの顔を見ながら少しずついいものを創り上げていこうと思いながら続けているって感じですね。

いやな参加者とかいますか?

いやな方はいないですね。変わっている人はいますが(笑)。 けれど多様性が大切だと思いますし、逆に仲良くなる方もいます。

接客と一緒ですね、横田さんどうですか?

樋口さんのおっしゃるとおり、確かに変な人はいます(笑)。 継続はやはり、実行委員会の皆と行うことが楽しいからですね。そして最後の懇親会が楽しくあるために、良いイベントを創り続けていこうと思っております。まずはお客様にウイスキーを楽しんでいただきたいですね。

またまた参加者さんからのご質問で、イベントではスコッチとジャパニーズがメインだと思うのですが、バーボンもたくさんありますか?ということで。
まず私からお話すると、リーマンショック以降日本に良いバーボンが入ることが少なくなった印象ですね。30年前はバーボンブームですごく多かったですが、今は頼まれる方が少なくなりました。あとはバーボン好きな人は浮気しないイメージがありますね(笑)。 飲み比べしない人が多いので冒険しづらいものの1つがバーボンかなとも思います。横田さんどうですか?

僕のウイスキーのきっかけはフォアローゼスというバーボンです。先輩に連れられていった時のかっこよさが忘れられなくて。なので思い出のお酒です。草野さんのいうように確かに浮気しないイメージです。とにかく一途な方が多いです。

フォアローゼス(出典:アマゾン公式

ちょうど学生のころのバーボンブームがすごかったです。色々なお店にバーボンがずらっと並んでいました。最近は韓国の人が高級なバーボンを飲みに来られますね。かなり在庫がなくなってきました。

韓国で流行っているのですかね?

韓国の人はバーボンに限らずいくつかの銘柄をすごく飲みたがりますね。海外のお客様ももどって来てすごくありがたいです。

それではトークテーマ③としてウイスキーを初心者一人でもフェスやバーは楽しめますかと言うことで。
バーは一番最初は友達に連れて行ってもらって、そこから自分のスキなお店を紹介で見つけるのがいいのではないでしょうか。また最近はSNSが発達していますので、私の想いを文章で読んでくださってから来てくださる方は仲良くなりやすいですね。そのためネットを活用して行ってみて、そこから紹介してもらうのがいいのではないでしょうか。

フェスを一人で行く前にまずはバーで愉しんでもらうほうがいいと思います。1つでもウイスキーを覚えてからフェスに行って、そこからは出展者の方とお話ししてって感じで広げてみるといいと思います。バーとフェスをセットのようにしてみるといいと思います。

フェスはバーの拡張のような感じですね。顔見知りを増やしながらフェスを楽しんだ方がいいと思います。みんなウイスキーが好きな人がきていますので、変に遠慮する必要はないですね。入りにくさに関しては、まずは勇気が大切ですね。

確かにまずは勇気が必要かも知れませんね。それでは辻さんにお返しします!ありがとうございました!

ーー草野さんありがとうございました!またここから神戸の歴史が始まるのが楽しみですね!やはりウイスキーへの想いが尽きないですね。その中で私どもも創り手の声を聞けば聞くほど一貫した想いがあると感じます。またバーテンダーの想いももっと知っていきたいなと思っております。その中でバーテンダーの仕事、バーの経営に関してお話していただければと思います。


前編はここまでです。2010年代からのウイスキーブーム以降、全国各地に現れたウイスキーフェスの謎が少し暴かれたのではないでしょうか?全国各地で実際に創ってきた方々のお話はとても興味深く、勉強になることばかりでした。

後編ではオーナーバーテンダーを務めるお三方のそれぞれのバーへのこだわりや参加者からの質問、さらにはよりバーを楽しむためのコツなど、盛りだくさんの内容となっております。さらに金言も生まれたので是非ご覧ください!

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