イチローズモルトのつくり手 肥土伊知郎さんの原点とは【第2回/全3回】

肥土伊知郎さんへのインタビュー第2弾。

第1弾では、肥土さんの幼少期から大学時代までのお話を伺いました。
その後、どのようにウイスキーの道に進まれたのでしょうか。


3.ウイスキーとの出会い

ーー
大学時代はウインドサーフィンを一生懸命されていたということでしたが、この時からウイスキーの道に進みたいと思われていたのでしょうか?

肥土さん(以下敬称略):
そうは思ってなかったです。お酒を飲むこと自体は結構好きだったんですけれども、味わって飲むっていうよりは、沢山飲むことを自慢し合ったりみんなとワイワイガヤガヤ騒いだりするのが好きでした。

肥土さん大学時代(右から二番目)

ウイスキーに関しても好んで飲み始めたのは大学生の時ですね。特に「ウイスキーをやろう」って思ったのは就職活動始める時くらいです。なんとなくウイスキーに対する漠然とした憧れが芽生えて、「あー、ウイスキーってかっこいい飲み物なんだな」なんてちょっと思って、そっちの道に行きたいと思いましたね。

ーー
なるほど。それで就職先でサントリーを希望されたのですか?

肥土:
そうですね。それも一因だったっていう感じです。うちの父が当時のサントリーの会長・佐治敬三さんとちょっと知り合いだったこともあって「サントリーは良い会社だからよく調べてみな」って言われたんです。そして調べていくと「たしかに面白い会社だな、行ってみたいな」と思いましたね。

4.営業で培った”現場主義”

ーー
サントリー時代は営業のほうをされていたとお聞きしているのですが、その経験がご実家のほうを継ぐ・実際につくり手になる、っていうことにおいて生きた経験がございましたらお伺いしたいです。

肥土:
そうですね。実際は製造現場を希望していました。しかし、たまたま枠がなくて、最初の1年間はマーケティング部門の営業企画で、販売促進やキャンペーンの立案とかを担当させて頂きました。

サントリー入社式のお写真(出典:肥土さんご本人)

だけれども、新入社員でそういう部署に行って、しかもいきなり輸入洋酒のブランドマネージャーみたいなことをさせられると、現場を知らないから何か企画を立てても先輩セールスマンからダメ出しを何度も食らいました。「お前のアイデアは机上の空論だ」「こんなんで売れるわけないだろ」と。

それで、このままじゃいけないなってことで、なんとか営業として現場を回らせてくれという風に部長に頼み込みました。その一年後に運よく空きが出て、「じゃあお前、営業出ていいよ」っていうことになったんですよね。

それから営業をすることになりました。企画とかいろんなアイデアを現場を見ながら組み立てていくってのはすごくおもしろくって、業績表彰を頂くこともあったし、非常に現場はおもしろかったんですよ。

いろんな自分の販売促進のやり方みたいなのが全国支店長会議で発表されて、他の支店がそれを参考にして展開していくみたいなこともあったくらいでした。

ですから、「現場を見てモノを考えていく」っていうのはすごく今の役に立っている気がします。やっぱり、机上の空論じゃダメだよっていうのが身に沁みましたから。

どうしてもその当時、プッシュ型の営業が割と一般的でした。というか、先輩はそういうやり方をやっている人が多かったように感じます。

そういう人たちっていうのは割と人柄とかしゃべりが面白かったりする人たちなんですよ。いわゆる「営業マン」として向いてそうだなっていう人。

だけれども、自分はどちらかと言ったらいろいろしゃべるタイプではありませんでした。むしろ酒屋さんに入る前に電信柱の陰で深呼吸しないとお店に入っていけないくらいでした(笑)

じゃあ自分の営業スタイルってなんなんだって考えた時に、やっぱり、「お客さんの問題を解決してあげること・何かの提案をしていくこと」が俺にはやんなきゃいけないことなんだろうなと。

やっぱりこれって現場主義だと思うんです。現場を回って、そこに対してどういう手を打つかを考えていく。それは、ものすごく今の仕事には役に立っていると思います。

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肥土さんがお仕事で大事にされている「現場主義」。その原点とも言えるお話でしたね。

次回は、肥土さんがサントリーからお父様の会社に戻ったあとに向き合った、自社のウイスキーについてお話を伺います。ぜひご覧ください!

写真出典:NECフィールディング

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