イチローズモルトのつくり手 肥土伊知郎さんの原点とは【第1回/全3回】

はじめに

”イチローズモルト(Ichiro’s Malt)”
ウイスキーを少しでも知っている人であれば、誰もが聞いたことのあるその名前。
ウイスキーが大好きな方もあまり詳しくない方も、そのデザイン性溢れる華やかな佇まいに目を惹かれるのではないでしょうか。
今回は、そんなイチローズモルトのつくり手であり、株式会社ベンチャーウイスキーの創業者である肥土伊知郎(あくといちろう)氏への初回インタビューの様子をお届けします。

(写真提供:辻 吉彦 https://note.com/tsukurutsuji/n/n2507b1ea4386


1. 酒づくりが身近にあった幼少期

ーー
本日はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まずは、生い立ち「いかにして世界的ブレンダーになったのか」といったところで幼少期のお話から伺ってもよろしいでしょうか。

肥土さん(以下敬称略):
そうですね。もともと家が江戸時代から続く酒蔵でしたから、幼少期から酒づくりというのがやっぱり身近にありましたね。本当にちっちゃい頃は蔵の中で蔵人と遊んでいました。

ひねり餅(出典:富美川ブログ(仮))

好物はですね、「ひねり餅」というものでした。蔵人/杜氏さんが、蒸したお米を固めて掌で蒸し具合を確認するという作業を行うんですね。要は小さなおにぎりみたいなものをつくってそれを掌でつぶすみたいな作業です。

これは一旦つぶしちゃうと酒づくりには使いませんから、それをストーブで焼いて、焼きおにぎりみたいなおせんべいみたいなものをつくってもらって、それに醤油をぬって食べていました。

それがわたしにとっての「最高のおやつだったんですよね。そんな感じで「酒づくりというのがなんとなく身近にあって、それが当たり前の風景だった」。そんな幼少期でしたかね。

肥土さん幼少期

2. のめりこんだ趣味とは

ーー
ちなみに、どんなお子さんだったのか、ご自身の性格がわかるようなエピソードはございますか?

肥土:
自分がどんな子どもだったか、っていうのを今振り返ってみると「のめりこみやすい」タイプでしたね。特に小学校の時。だいたいおもしろいなって興味をもつとそこから結構のめりこむタイプなんですよ。

例えば、小さいときにお小遣いで「ブラックジャック」っていう漫画本を買って、それで「医学」とか「人間の不思議さ」みたいなものがすごいおもしろいなと思ったんですね。そうすると「将来お医者さんになりたいな」という夢をもって、医学に関する本を読みまくった時もありました。

それから、これは小学校3年生くらいの時。デパートに連れて行ってもらった時にマジックコーナーみたいなところがあって、そこで実演販売をやってるわけです。カードのマジックとか、ハンカチのマジックとか。
そういうのを見て「あ、将来マジシャンになりたい」と思って。そこから、すごい手品に凝るみたいな、そんな時もありました。だいたい2年くらい集中的に興味をもって凝る・趣味になるってことが多かったかな。

ーー
未だに手品の技って残ってるんですか?

肥土:
いや、もうだいぶ腕が落ちましたね。まあ、やれと言われれば…でも今は恥ずかしいからあまりやらないな(笑)

ーー
そうなんですね。機会があれば拝見したかったです(笑)
ちなみに小学校高学年のころはどんなものにのめりこんだのでしょうか?

肥土:
小学校5年になると物理科学部というところに所属しました。なぜ物理科学部に所属したかっていうと、ふとしたところからラジオの組立キットみたいなのを買ったのがきっかけですかね。
そのキットで、トランジスタとか抵抗とか基盤にくっつけてはんだごてで固定していくみたいな作業がすごくおもしろくって。しかも自分がつくったもので、実際にラジオが聞ける。「あ、これはおもしろいな」ってことで、当時よく秋葉原に電子部品を買いにいったりしていましたね。

あとは当時きわめて珍しかったんですけれども、アマチュア無線の資格をとって、いろんな方たち、なかには海外の人たちと無線で交信するなんていうのを趣味にしていた時期もありました。

肥土さんの小学生時代

ーー
中高生時代のお話もお聞きしたいです。

肥土:
中学生の時には、クラスの大半は人気の「金八先生」を見てたんですけれども、その裏番組のプロレスを見ている少数派のグループのひとりでした。今だったら怒られるかもしれないですけれど、休み時間にはプロレスの技の掛け合いをしていました。そんな中学生でしたね。

高校はこれといった趣味が、あんまり無かったような気がするなあ。いろいろスポーツやったりもしましたが。あ、そうだ、カメラ!写真も趣味だったし釣りも趣味でした。あ、随分多趣味でしたね。
カメラが趣味だったんですけど、途中から「ものを撮ること」が趣味というよりも、「フィルムの現像」とか「写真の引き伸ばし」とか、そっちのほうがおもしろくなっちゃいまして。割とそういうマニアックなところが好きだったのかもしれませんね。

ーー
醸造学を専攻されていた大学時代はどうでしたか?

肥土:
大学の時は、割とのめりこんでいたスポーツがありました。これがウインドサーフィンだったんですよ。始めた動機は非常に不純だったんですけれども、なんかモテそうだなと思ったんですよね。(笑)

肥土さんとウィンドサーフィン部の部員の方々

ところが、実際に入ってみると、いわゆる華やかなサーフィンというイメージとは大違いで、ヨットの一番下のクラス・一番小型のクラスなんですよ。なので、朝海に出るとお昼のときまで戻ってこないで、ずっと洋上で練習してるみたいな感じで。昼に戻ってきてお昼ご飯食べたらまた海に出て、夕方まで帰ってこない。

そんな感じじゃ女の子と出会うチャンスもなく、全然モテない(笑)そんなスポーツでしたね。
ですが、その分4年間一生懸命やってましたので、それはそれで凄くいい経験だったと思います。

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「おもしろいと思ったものには、とことんのめりこむ」そんな肥土さんとウイスキーの出会い・サントリーで培った現場主義の精神についてお送りします。

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